空撮から物資輸送まで、様々な場面で活躍するドローンですが、どうして空中で安定した飛行が可能なのか不思議ですよね。実は、複数のプロペラが絶妙にバランスを取ることで安定性を維持しているのです。今回はそんなドローンの飛行メカニズムについて、簡単にご紹介していきます。
ドローンを空中に浮かばせるのは、プロペラが回転することで生じる「揚力」です。では、この「揚力」とは一体ナニモノなのでしょうか。実は、ドローンの原動力とも言えるこの「揚力」を発生させているのは、プロペラの周囲の空気の流れになります。ドローンのプロペラをよく見ると、全て一定の角度がついていると思います。この角度があることによって、プロペラが回転した時の上面と下面の空気の流れるスピードに差が生まれ、上向きの力を生むように設計されているのです。
ちなみに、空中で静止する「ホバリング」の状態は、プロペラの回転により生まれる「揚力」と、機体の「重量」が釣り合うことで成り立っています。
以下の図がドローンが飛行する際のプロペラの回転方向です。隣合うプロペラは反対方向に回転しており、これによって反トルクを相殺して安定した飛行が可能になります。もし全てのプロペラを同じ方向に回転させると、機体自体が回転してしまいます。
プロペラが生み出す揚力によって空中に浮かぶことができるのは分かったかと思います。では、そうやって浮遊しているドローンはどうやって自由自在に飛び回ることができているでしょうか。その秘密はそれぞれのプロペラの回転数の制御にあります。
以下の図がその原理を示しています。ドローンが前進する「エレベーター」、ドローンが左右に動く「エルロン」、ドローンがその場で旋回する「ラダー」といったドローンの基本操作は、プロペラの回転数を個別に制御することによって実現されています。回転数の違いによって機体に傾きが生まれ、揚力の向きが真下ではなくなるため、横方向への力が生まれてくるのです。
ドローンは上記のようなプロペラの回転数の差を利用して、機体を傾けることで推進力を発生させます。したがって、搭載しているカメラをブレさせずに美しい動画を撮るためには、その機体の傾きを計算に入れながら撮影する必要があります。
具体的には、機体の動きを急に止めてしまうと期待の傾きの変化が大きく、動画に滑らかさがなくなってしますため、速度の変化ができるだけ滑らかになるような操作をすることがコツと言えます。ただし、滑らかな操作を実現するにはある程度の技術が必要なので、飛行訓練をしっかりする必要があるでしょう。
このように、ドローンは各プロペラのバランスが上手く釣り合うことで安定した飛行を可能にしています。そのため、もし一つでもプロペラに異常が生じてしまうと、あっという間にバランスを崩して墜落してしまう可能性があります。したがって、ドローンを飛ばす際は、事前のメンテナンスをしっかりと行い、万が一墜落しても怪我人が出ないような配慮が必要となるのです。
ドローンのメンテナンスや安全管理については各種のドローンスクールなどで学ぶことができますので、不安な方はまずスクールに通ってしっかりとした知識と技術を身に着けることをおすすめします。
今回は一般的なマルチコプタードローンの飛行メカニズムについてご説明させていただきました。一見すると簡単な仕組みなのですが、この絶妙のバランスを保つために、ドローンには高度なセンサー技術や制御技術が搭載されてます。我々が簡単な操作でドローンを操縦できている裏側に隠れているこのような技術を知ると、ドローンを扱うのがより楽しくなるかもしれませんね。