ドローンの普及と共に「操縦経験はないけれどドローンの空撮を楽しんでみたい」と考える方が増加していますが、ドローンの飛行は航空法によって厳しく規制されているため航空法の規制対象から外れるホビー・ドローンには非常に大きなニーズが存在します。
ドローンメーカー大手のDJIは市場ニーズに応え、2019年10月末に本格のホビー・ドローンMavic Miniをリリースし大きな反響を得ましたが、約1年が経過した2020年11月5日に後続機種としてDJI Mini 2を発表しました。
わずか1年の開発期間で驚くほど大きな進化を遂げ、国内でも11月12日から発売されるDJI Mini 2の特徴やアップグレードポイントを、前モデルMavic Mini と比較しながら徹底的に紹介します。
DJIがわずか1年で DJI Mini 2を発表した背景とは?
前モデルのMavic Miniは、安全性能・搭載機能・コストパフォーマンスのバランスが非常に良い高性能なホビー・ドローンとして、発売直後から世界中のドローンパイロットから高い評価を受けたモデルとして位置付けられています。
特に航空法でドローンの飛行が厳しく制限されている国内では、航空法の規制対象外となる200グラム以下の高性能ドローンに対するニーズが非常に高く、Mavic Miniは発売直後から入手困難な状態が続くほどの大ヒットモデルとなったと言えるでしょう。
しかしMavic Miniは高く評価される一方で、「ユーザーニーズを満足させられていない」という手厳しい評価も存在したのが事実で、DJIはより高性能なホビー・ドローンとしてDJI Mini 2を投入したのではないのかと捉えることができます。
事実、DJI Mini 2はMavic Miniの後継モデルに位置付けられていますが、搭載機能は上位モデルのMavic 2同等のスペックを誇り「より高性能で、よりパワフルな」ホビー・ドローンに進化したと言えます。
また次に挙げるようにDJI MNI 2の販売価格はMavic Miniより高額でMavic Mini
はDJI MNI 2と併売されるため、DJIのホビー・ドローンのラインナップ充実を図る意味でDJI MNI 2が投入されたのではないかと考えられます。
モデル |
ベーシック・セット |
フライ・モア・コンボ |
Mavic Mini |
46,200円(税込) |
59,400円(税込) |
DJI MNI 2 |
59,400円(税込) |
79,200円(税込) |
高性能ホビード・ローンに進化したDJI MINI 2のスペック
DJI MINI 2のベーシックな搭載機能は次表のとおりですが、単独ではDJI MINI 2のスペックを掴みにくいため、参考地位として前モデルMavic Miniのスペックと併記して紹介します。
|
DJI MNI 2 |
Mavic Mini |
本体サイズ(mm) |
|
|
格納時 |
138×81×59 |
140×81×57 |
展開時 |
159×202×55 |
159×202×55 |
飛行時 |
245×289×55 |
245×289×55 |
本体重量(g) |
199 |
199 |
最大飛行速度(m/s) |
|
|
Sモード |
16.0 |
13.0 |
Nモード |
10.0 |
8.0 |
Cモード |
6.0 |
4.0 |
最大上昇速度(m/s) |
|
|
Sモード |
5.0 |
4.0 |
Nモード |
3.0 |
1.8 |
Cモード |
2.0 |
1.5 |
最大下降速度(m/s) |
|
|
Sモード |
3.5 |
3.0 |
Nモード |
3.0 |
1.8 |
Cモード |
1.5 |
1.0 |
風圧抵抗(m/s) |
8.0~10.7(スケール5) |
3.4~5.4(スケール3) |
送電システム |
OcuSync2.0 |
Wi-Fi |
送電範囲(km) |
6.0(理論値) |
2.0(理論値) |
最大飛行時間 |
18分(無風・約4.6m/s飛行時) |
18分(無風・約3.3m/s飛行時) |
本体サイズに大きな変化はなく、重量も航空法の規制対象から外れる200グラム以下である点で従来モデルを継承するDJI MNI 2はMavic Mini同様のホビー・ドローンに位置付けられます。
DJI MNI 2の大きな注目点は飛行速度や上昇下降速度を大きくパワーアップさせたパワートレインで、動きがモッサリとした印象が拭えないMavic Miniのバージョンアップモデルであることを象徴していると言えるでしょう。
また送電システムがWi-FiからOcuSync2.0 に変更されたことで理論値ではあるものの、送電範囲が3倍の6.0kmになった点も高く評価でき、安定した接続でより快適な飛行の実現が期待できます。
DJI製の他のドローン同様、高精度GPSと飛行中に機体下の地面をマッピングできるビジョンセンサーが搭載されているため、正確な定点ホバリングや自動着陸をアシストします。
さらに自動帰還機能RTH (Return-to-Home)や規制エリアへの侵入を防ぐジオフェンス機能、最大飛行高度・距離をコントロールする飛行保護機能などの安全性能を搭載しているのでビギナーのドローン・パイロットでも安心して飛行を楽しめるのが魅力です。
国外モデルの2,250 mAhバッテリーに対し国内モデルには航空法対応のため残念ながら1,065mAhバッテリーが搭載され軽量化が図られています。
DJI MNI 2の最大飛行時間はMavic Mini同様18分ですが、約1.3m/s高い飛行速度での数値であることから、DJI MNI 2にはパワフルな省エネモーターが搭載されていることが判ります。
カメラ性能のグレードアップでハイレベルな空撮を実現するDJI MNI 2
航空法の規制対象から外れるホビー・ドローンなら「ドローンで空撮を楽しみたい」というニーズに応えられますし、既述のとおり基本機能や安全性能を向上させたDJI MNI 2であればビギナーのドローン・パイロットでも安心して飛行を楽しむことができます。
多くのユーザーから「より高い空撮性能を持つホビー・ドローン」が求められていますが、DJI MNI 2にはユーザー・ニーズを十分満足させられる高い空撮性能が搭載されていますので、Mavic Miniのカメラ性能と比較しながらDJI MNI 2のスペックを紹介します。
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DJI MNI 2 |
Mavic Mini |
カメラセンサー |
1/2.3 CMOS(有効画素数12MP) |
1/2.3 CMOS(有効画素数12MP) |
レンズ |
|
|
FOV |
83° |
83° |
35mm換算 |
24mm |
24mm |
絞り |
F2.8 |
F2.8 |
ズーム |
4倍ズーム |
非対応 |
パノラマ |
広角・スフィア・180° |
非対応 |
動画ISO感度 |
100~3200(自動・手動) |
100~3200(自動・手動) |
静止画ISO感度 |
100~3200(自動・手動) |
100~1600(自動) 100~3200(手動) |
静止画最大 サイズ |
・4:3(4000×3000) ・16:9(4000×2250) |
・4:3(4000×3000) ・16:9(4000×2250) |
静止画 フォーマット |
JPEG / RAW |
JPEG |
動画解像度 |
・4K:3840×2160@24/25/30p ・2.7K:2688×1512@24/25/30/48/50/60p ・FHD:1920×1080@24/25/30/48/50/60/120p |
・2.7K:2720×1530@25/30p ・FHD:1920×1080@25/30/50/60p |
最大動画 ビットレート |
100Mbps |
40Mbps |
Mavic Miniは高い空撮機能を搭載するホビー・ドローンとして発売されましたが、バージョンップした後継モデルのDJI MNI 2は4Kの動画解像度に対応していて、2.7KのMavic Miniより高画質動画での空撮を実現しています。
またMavic Miniでは非対応であったズーム機能を搭載したことで被写体にDJI MNI 2を接近させずに撮影できると共に、新搭載のパノラマ機能を利用してハリウッド映画のような雄大な動画撮影が可能になったのも大きな魅力です。
さらに送電システムにドローンの操作や映像伝送に特化したOcuSync2.0を採用したことで安定した空撮環境を確立しており、高性能な空撮性能を搭載したホビー・ドローンに仕上がっていると言えるでしょう。
DJI MNI 2の新機能である編集機能「最適化フォト」を利用してDJI Flyアプリから最適化された画像をダウンロードし共有することも可能ですので、撮影画像を効果的にSNSで利用できるのは嬉しい機能なのではないでしょうか?
大進化を遂げたDJI MNI 2はどのように活用できる?
飛行性能と空撮性能の大幅なバージョンアップで大進化を遂げたDJI MNI 2は前モデルから対応するクイックショットのドローニー・サークル・ヘリックス・ロケットに加え、「ブーメラン」が追加されています。
被写体の周りを楕円形を描きブーメランのように飛行する機能が追加され、空撮による動画撮影の幅が大きく広がったことでホビー・ドローン・パイロットとしての楽しみと可能性が大きくランクアップすると考えられます。
また飛行性能と空撮性能の向上は施設点検や生態調査など、遠隔から詳しく状況確認を行いたい実業的ニーズに対しても有効活用できると考えられますので、大進化を遂げたDJI MNI 2はホビー・ドローンの枠を超えて活用できる高性能モデルだと言えるでしょう。