DJI ARENAを運営されており、DJIドローンのカスタマイズやオリジナルドローンの開発もしている日本サーキットのスクール担当の岡崎さんとWEBコンテンツ担当の飯田さんにお話をお伺いしました。
岡崎氏:私が主にスクールを担当しておりまして、飯田が、WEBコンテンツ系を担当しています。
飯田氏:よろしくお願いします。
――よろしくお願いいたします。初めにDJI ARENAの特徴について教えてください。
岡崎氏:DJI ARENAはDJI公認のドローンの屋内飛行場で、幅約10m、奥行き約38m、最大高さ 約9mの広く高い空間を有しています。
DJI ARENAは屋内施設ですので、最大の特徴は、やはり天候、風の影響がないということとですね。レッスンについても同じ条件で取り組んでいただくことが可能なので、客観的に公平な実技審査ができると考えています。
――スクールもやられていらっしゃるんですよね。
岡崎氏:はい。元々、日本サーキットのドローン事業部で、JDRONE(ジェイドローン)という名称でドローンビジネスを展開しています。このJDRONEの名前でドローンスクールを運営しています。私と飯田で、JUIDAのカリキュラムのスクールの運営をしています。
このアリーナは昨年オープンしたのですが、DJIアリーナというドローンを飛ばせる施設と日本サーキットのJDRONEの屋内飛行施設という2つの面を持たせています。
飯田氏:JDRONEのスクールに関してはDJIアリーナのサイトではなく、JDRONEのウェブサイトに掲載してあります。
――JDRONEのスクールには何か特徴がありますでしょうか。
岡崎氏:コンセプトとしての3つの柱がありまして、少数精鋭、短期集中、そして卒業生の皆さまとドローンビジネスに関わっていく、ということがあります。
いろいろなスクールの取材を通してご存じかとは思うのですが、ドローンスクールは受講される方のモチベーションとレベルに最初はバラツキがあって、全く触ったことはないという方から、実は飛行経験はあるのだけれど申請の関係上スキル証明が欲しいという方もいらっしゃいます。
――なるほど。求めるレベル感が違うのですね。
岡崎氏:そういったニーズに対応できるようにということで、我々は少数精鋭ということを挙げています。座学と実技の両方でその人その人に合わせてアドバイスする内容を決めています。目安として実技は受講生3人につき講師1名で組ませていただいております。
――短期集中とありましたが、具体的にはどれぐらいなのでしょうか。
岡崎氏:JDRONEのアカデミーに関しては、座学と屋内実習を2日、屋外実習と実技試験を1日の合計3日間となっています。ただし、座学から屋外実習まで大体1週間空けておりまして、その間に受講生の皆さんに自主練習を行っていただきたいと考えています。その際には、練習用のトイドローンの貸し出しも行っております。
――試験の前にしっかり練習する時間があるのはよいですね。卒業後のフォローの部分はどうなっていますか。
岡崎氏:ドローンは定期的に触っていないと忘れてしまうので、卒業後にこちらのアリーナでの練習時間を20時間、無償提供させていただいています。
また、卒業生の方には、我々の方から、様々なプログラム・セミナーのご案内、ドローンの最新事情とかも、ブログやメールマガジンで配信するようにしています。アリーナで機体の販売もしていますので、事業で必要な機体のお買い上げをされる方もおります。中には企業がドローンビジネスを始めるということでスクールに通われたのですが、卒業後に個人でも買いたいという方もいらっしゃいます。
――確かに、1回飛行をさせて体験をすると欲しくなってしまいますよね。
岡崎氏:そうですよね。ドローンの操縦は、少しずつ上手になっていく面白さがありますね。大抵のお客さんは、初めてドローンに触れてから操縦できるようになって、わぁ、わぁと言いながら顔がほころんでいますね。そういう様子を見ているとこの仕事をやっていてよかったと思います。
――そういう成長を肌で感じられるのはよいですね。このスクール事業を始められたのはいつ頃からですか?
岡崎氏:一般向けにスクールを始めたのは2017年ですね。それ以前に、企業樣向けとかでうちのオリジナルの機体を納めている関係上、オリジナルのカリキュラムを提供させていただいたことがありました。
――実際、スクールがJUIDAのライセンスになったのは2017年の時からなのでしょうか。
岡崎氏:そうですね。
――これから色々な団体のライセンスが出てきたり、ドローンの機体進化のスピードが早く小型化が急速に進んでいくという話がありますね。全体的にドローン業界として今後どうなっていくとお考えでしょうか?
岡崎氏:逆に他のところでどんな話があったのか聞かせていただきたいですね(笑)。
飯田氏:そうですね(笑)。他のスクールさんの話は気になります。
岡崎氏:まあ、ニーズは人それぞれだと思いますので、いかにきちんとくみ取ってあげるかだと思います。かつ、幅広くしすぎると浅くなってしまうので、ある程度の幅と深さを考慮した上で、お客さまのニーズに応えたいなと。
個人としては、ドローンビルダーとして持っている教訓を、その方のバックボーンに合わせてお伝えするということを心がけていますね。その人に則した形でお伝えするという、ただ単に、飛ばせるようにしますよ、というところじゃないところが、うちのスクールのコンセプトというか、隠れたモットーと言いますか。
――色々なニーズに応えていけるということが強みになっているのですね。
岡崎氏:受講していただかないとなかなか分からないんですけれどね。
――ちゃんと、今のビジネスにプラスでドローンを導入したときにどれぐらいビジネスを加速させられるかということもありますよね。
岡崎氏:そうですね。ですので、例えば元々機械系とか、建設系とかで、色々な機械に長けている方の場合には、思い切ってもう既にご存じのことは省かせていただいて、新しいところに時間を割いたりとか、情報を収集したりとか。
――逆にライトユーザーな方に関しては、もうちょっと操縦技術の時間を増やしたりもするのでしょうか。
岡崎氏:そうですね。その一方で、ドローンを何とか仕事に使いたいと思っているのだけど、漠然としている段階だと、専門的にアプリケーションを用意してもその先にたどり着かないので、ある程度広く、ある程度深くというのが大切です。我々のレッスンやスクールを受けていただければ、その後自分でやりたいことに何が必要か、自分で判断できるようになっていただきたい、というのも我々のスクールのコンセプトとして設定しております。ですので、説明会に来られる方には、3日間でドローンについて何がわかるか、が分かるようになりますってところからお話を始めています。そして、卒業後であっても、機体の選定であったり、こういうことをしたいけどスキルアップはどうしたらよいかという相談など、何でもご協力いたします。
――どちらかというと、目的がざっくりされている方のほうが多いのでしょうか。
岡崎氏:どうでしょうね、半々か、ちょっと目的がある方が多いぐらいの感じかなと思います。ただ、企業さまで来られる方でもあまりはっきり何に使うんですっていうのをおっしゃられない方もいらっしゃいますので。
飯田氏:ドローン自体が、まだ世の中に出てきたばかりなので…例えば、ドローンが既に世の中に浸透して東京23区内で普通にドローンがビュンビュン飛んでるような感じであれば、おそらくもう少し受講生の方々の目的がはっきりしたてくるのではないかと思います。そうすれば、スクールのカリキュラムももっと用途別になるんではないかと思っております。例えば重機だと、ショベルカーやブルドーザー、クレーンオペレーターとかフォークリフトのオペレーターなど細分化されているますよね。ドローンはまだその辺りが全部同じというか。重機のように細かく細分化されるのはもう少し時間がかかりますね。
岡崎氏:お客さまの時間軸に依存しているのではないですかね。既にドローンはビジネスに使われて昨年から様々なところで目にされるようになってきていますから、そのお客さまのステータスによってではないかなと思います。2周目に入っているところもあるでしょうし、まだ1周目のところもあると思いますね。
飯田氏:測量とかをやっているスクールもありますが、うちはそこまで細分化はしないで、ドローンをまずは飛ばすというくくりで扱っていますね。
岡崎氏:飛ばすというか、基本的なドローンの運用ができる、メンテナンスから手続きまでするという、全部自分でやれるようになるというイメージですね。
――卒業されている方で、ご活躍されている方のお話とかは聞いたりするのですか?
岡崎氏:企業樣の方はビジネスの関係があるので、具体的な例はあげられないのですが起業を検討されている方は何名もいらっしゃいますね。
――なるほど。ドローンを使ってビジネスを自分でやろうと。
飯田氏:あとは、ドローンを使って起業というのではなく、もともと受講生の方が既に持ってる事業にプラスアルファで導入していく、という例もあります。
岡崎氏:もともと基になるビジネスをやっておられて、そこにひとつのアイテムとしてドローンを加えたいという形ですね。
――ちなみに、女性の受講生の方で空撮だったり、インスタグラムとかにあげるためにドローンをやってみたい、みたいなニーズはあったりしますか。
岡崎氏:需要として空撮はありますね。やはり個人で女性の方はほぼ空撮目的ですね。
飯田氏:インスタグラムは、すごく需要が多いですね。
――やはりそうなのですね。
飯田氏:私、昨日までずっとカメラの展示会にスタッフとして行ってまして、色々なお客様の話を聞いてました。海外旅行とかにドローンを持参して海外で飛ばしてインスタグラムに載せたいという需要があるみたいです。実際にこの業界で活躍する女性の方でも、最近発売されたMAVIC AIRの360度映像とかを載せたりしている方もいらっしゃいます。
――ドローンが市場として伸びてきている中で、今後のC向け市場を考えた場合、GoProとかアクションカメラの市場に近いのかと思うのですが、もしC向けに落ちていくのであればそこのセグメントは押さえていきたいですよね。
飯田氏:もともとGoProとかアクションカメラを使ってる方が延長線上として使いたいというケースが多いかなと思います。しかし、まだ世界的に法律がはっきり固まっていないので、もう10年か、もしかするともっと早い時期に、法整備が進んで、法律の範囲で気軽にカメラと同じように扱える機種が出たところで、恐らく一気に世界的に普及していくと思っています。日本ではまだまだ特別な敷居感みたいなのはあるかなと思います。
――今後、DJIアリーナをさらに広げていかれるなんて計画はあるのですか?
岡崎氏:広げていくというのは2号店ってことですか。
――はい。
岡崎氏:それはどうでしょうね。まずはここでしっかりと根付いたサービスを継続して提供していけるようにしなければと考えています。もちろんお客様から「近くにほしいんだよな、こういうの。」という声はありますね。
――確かに近くにあったら通いたいですよ。
岡崎氏:最終的にはドローンは外で飛ばすものなので。ここはある程度のところで卒業していただて、そこで外で飛ばす時の機体の、機種選定とか我々がお手伝いさせていただけたらいいなと思います。それでまたその方が次のお客さんを連れてきてくれたらいいなと思います。
飯田氏:これは私の個人的な想像なのですが、もしかしたら10年後とかに、似たような施設が日本中にたくさんオープンしている可能性もありますし、ドローン業界はどうなるかわからないですよね。
岡崎氏:まぁ、技術の進化もありますし、規制の変化もあるでしょうし。
――お話をお伺いさせていただき、ありがとうございました。
今回インタビューさせて頂いただいた岡崎様と飯田様はDJI ARENAでドローンを自由に楽しんで欲しいという気持ちがこちらにも伝わってくるようなお二人でした。
まずは、飛ばしたいときに飛ばせる環境作りを推進されようとしていることがとても素晴らしいと感じました。
この記事を読んでドローンを試しに少し飛ばしてみたいと思った方は、ぜひ一度、DJI ARENAまで足を運んでみてはいかがでしょうか。
インタビュー日時:2018年3月5日(月)
撮影場所:DJI ARENA JDRONE TOKYO (東京都葛飾区細田 3-30-13)
取材者:市川、日比、清水