航空法について皆さんはどれくらいご存知ですか?そもそも航空法とはなんでしょうか。わからない方も多いのではないでしょうか。しかし、ドローンを飛ばすにあたって、航空法を知っておく必要があります。ここでは、航空法についてしっかりと学んでいきましょう。
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航空法とは、航空機の航行の安全、航空機による運送事業などの秩序の確立を目的とした法律です。1952年(昭和27)に制定され、国際民間航空条約の規定に準拠して、航空機の登録と安全性、航空従事者、航空路、飛行場、航空安全施設、航空機の運航、航空運送事業、外国航空機などに関する事項について定められたものです。
近年、ドローンが開発されてから趣味やビジネスを目的とした利用者が急増したため、ドローン(無人航空機)の飛行に関するルールが追加され、平成27年に航空法が改正されました。
そもそも、無人航空機とはなんでしょうか。無人航空機とは人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船があり、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるものと定義されています。いわゆる、ドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農布用ラジコン機などが該当します。
ただし、マルチコプターやラジコン機などであっても、重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)200グラム未満のものは、無人航空機ではなく「模型航空機」に分類されます。模型航空機とは、200グラム未満の機体のことを指し、無人航空機の飛行に関するルールには適用されません。しかしながら、空港周辺や一定の高度以上の飛行は規制の対象になりますので、あくまでも航空法を守って飛ばしましょう。
平成27年12月10日に航空法が改正され、無人航空機を飛行させる際の基本的なルールが定められました。これらのルールに違反した場合には、最大50万円以下の罰金が課されることがありますので、まずはしっかりとルールについて学びましょう。
有人の航空機に衝突するおそれや、落下した場合に地上の人などに危害を及ぼすおそれがある高い空域に、無人航空機を飛行させることは、原則として禁止されています。具体的には以下のような空域が禁止区域に該当します。
① 地表または水面から150m以上の高さの空域
② 空港周辺の空域
③ 人口集中地区の上空(人口集中地区に該当する区域は 航空局ホームページ にてご確認ください。)
出典:国土交通省ホームページ
もし、上記の空域で無人航空機を飛行させる必要がある場合には、安全面の措置をした上で、国土交通大臣の許可を受ければ飛行可能になります。許可を受けるには航空局に申請書を提出することが必要です。(※屋内で飛行させる場合は不要です。)
飛行する場所に関わらず、無人航空機を操縦する場合には、以下のルールを守ることが必要です。
①日中(日出から日没まで)に飛行させること
②目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
③人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
④ 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
⑤ 爆発物など危険物を輸送しないこと
⑥ 無人航空機から物を投下しないこと
出典:国土交通省ホームページ
上記のルールに反してドローンを飛行させる場合には、地方航空局長の承認を受ける必要があります。十分に安全面の措置をした上で、航空局に申請することで飛行可能となります。
航空法について記載してきましたが、ドローンを飛行させる以上、技量の向上はもちろん、使用する無人航空機の安全性を確保することが大切です。航空法についてきちんと学び、ルールを守って安全に正しくドローンを飛ばしましょう。
国交省は、2017年11月4日に岐阜県大垣市で開催された「ロボフェスおおがき2017」で発生した、イベント上空で飛行中の無人航空機の落下事故を受け、更なる安全確保のため、有識者検討会の議論も踏まえ、「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」について2018年1月31日付で改正を行い、立入禁止範囲などを明確化しました。今回の改正の主なポイントは以下の3点です。
改正前は「適切な距離」をおくという曖昧な表現だったところを、今回の改正では以下の表のように「飛行高度」と「飛行範囲(水平距離)」が明確に規定され、その範囲は立入禁止区画として設定しなければならないとされました。
飛行の高度 | 立入禁止区画 |
20m未満 | 飛行範囲の外周から 30m以内の範囲 |
20m以上 50m未満 | 飛行範囲の外周から 40m以内の範囲 |
50m以上 100m未満 | 飛行範囲の外周から 60m以内の範囲 |
100m以上 150m未満 | 飛行範囲の外周から 70m以内の範囲 |
150m以上 | 飛行範囲の外周から落下距離
(当該距離が70m未満の場合にあっては、70mとする。)以内の範囲 |
「第三者及び物件に接触した際に危害を軽減する構造を有すること」が期待の適合基準に追加され、該当例として、「プロペラガード」の装着、「衝突した際の衝撃を緩和する素材の使用又はカバーの装着」が挙げられています。
飛行の条件として、「風速5m/s以上の場合には、飛行を行わないこと。」、「飛行速度と風速の和が7m/s以上となる場合には、飛行を行わないこと。」という内容が追加されています。
出典:国土交通省ホームページ
国土交通省がドローンなどの無人飛行機に関する問い合わせ窓口として、「無人航空機ヘルプデスク」を用意していますので、ドローンの規制関連で分からないことがあれば、まずは相談してみるとよいでしょう。基本的に些細な質問でも丁寧に回答していただけるかと思います。
国土交通省によると、本要領で定める審査基準は無人航空機の飛行にあたって最低限遵守しなければならない要件を示すものであり、飛行の方法及び場所に応じて生じるおそれがある飛行のリスクを事前に検証した上で、追加的な安全上の措置を講じるなど、飛行の安全に万全を期するようにして欲しいとしています。こういったルールはドローンを安全に扱うための基本となるものなので、しっかり理解した上で、安全には十分配慮して飛行させるようにしましょう。